松源寺半鐘の鋳造者
江戸・神田の鑄物師
木村将監藤原安成作
この小さな梵鐘には銘文がしっかりと彫られていますが、現住の不勉強で読み下しができておらず、また一部文字の判別がついておりません。
ただ、正徳元年(1711年)10月に鋳造されたものであろうことは確認できます。
また、銘の内容が正しければ、江戸の御鑄物師であった木村將監藤原安成鋳造の半鐘ということになります。
日本鋳工史稿によれば、木村将監藤原安成は当時神田に住んでいた鑄物師だそうです。芝増上寺や音羽護国寺といった大きなお寺の鑄物制作を行っていた人物のようです(この史稿には松源寺の半鐘について記載はありませんでした)。
木村家一族は元々紀伊粉川(現在の和歌山県紀の川市)の出身であることから「粉川將監」と銘打つこともあったそうですが、高野山に近い地域出身の鑄物師の方が鋳造された梵鐘が、現在高野山真言宗の当山に現存することについて、何か縁深いものを感じずにはいられません。