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勘九郎地蔵尊の刻字

約三百六十年前に
 建立されたお地蔵様

勘九郎地蔵尊の光背向かって右方には「為 道山禅定門 成三菩提也 乃至法界 平等利益 施主敬白」とあり、道山禅定門(勘九郎の戒名)の菩提を弔い供養するために建立されたことが分かります(当山では、年間行事として8月20日に行っている大施餓鬼法要にて、現在でも毎年塔婆をあげ、道山禅定門菩提供養を行っております)。

また、同じく光背向かって左方には「干時 万治三年庚子五月十五日」(1660年6月22日)の日付が彫られており、約360年前に建立された地蔵尊であることが分かります(2020年に、建立360周年を迎えました)。


勘九郎地蔵尊の光背上部真ん中には、梵字の「ア」字が彫り込んであります。

地蔵菩薩の種字は通常「カ」字ですが、これは恐らく「延命地蔵菩薩経」で説かれる「地蔵菩薩は不動阿字の本体である(地蔵菩薩は大日如来の化身である不動明王と同体である)」という信仰に沿い、大日如来の種字である「ア」字が彫られているのではないかと推測します。

*ちなみに、現在では「延命地蔵菩薩経」は後世の偽経(釈尊が説かれた経典ではない)とする説がございます。しかし、高野山真言宗の教義においては「大日如来は、一切諸仏諸尊の根本仏」ですから、当山としましてはお地蔵さまに「ア」字が彫られていても特に問題を感じません。むしろ、真言宗の根本本尊である大日如来としての働きが強く象徴されているように感じ、大変ありがたいお地蔵様であると考えております。