ウクライナ情勢についての雑感
桃の節句も過ぎ、春の陽気が心地よい季節となりました。当山の桃の花はまだ蕾ですが、かわりに紅梅が元気に咲いてくれています(白梅は、そろそろ見納めです。本日の強風で随分散ってしまいました)。
さて、新型コロナも心配ですが、ロシア、ウクライナの情勢が大変深刻な事態となっております。
暴力で他者を傷つけ殺戮し、為政者の我を通そうとする行為は、決して容認されるものではありません。
これを認めれば、歯止めを失い、次から次へと暴力行為の連鎖が起きてしまいます。
如何なる理由があろうとも、国際社会はこの暴挙を明確に否定すべきだと思います。
しかし、一方的にロシア憎し、というわけにもいきません。
暴力行為をしかけ、かつそうした行為を支持している方々は非難を受けざるを得ませんし、その悪業の果を免れることはできないでしょう。
そうした方々には即刻考えを改めて頂きたいところですが、かと言って「ロシア(人)だから悪」と決めつけるような極端な行為は控えるべきです。
暴力による解決を望まない(あるいは正しい情報に触れることができない)ロシア一般市民、またロシア上層部の指示に逆らえない政府や軍部兵士達等がいることは、諸々の報道で明らかです。
「戦争を仕掛けている国の人間は皆悪い人間だ」などという思い込みにより、ロシア人と見れば誰彼構わず非難を浴びせたり危害を加えたりする人は、自分がロシア軍と同じことをしていると自覚し、猛省すべきです。
暴力行為に加担せず、支持しない考えを持つ同じ人間を、ただ国籍がロシアというだけで非難し、攻撃の対象にするというのであれば、それは民間人を巻き込む戦闘行為を行っているロシア軍と違いがありません。
冷静に自心を見つめれば、その動機は「平和を望む心」ではなく、単に自分自身の中の「怒り」を発散させたいだけの暴力的で、無知な心であることが分析できると思います。
そうした心から離れるように努力することが、様々な意図を持った扇動行為に簡単にあおられないようにするための安全策になります。
ウクライナ側の視点があり、ロシア側の視点もある。実際、現在の状況に至るまでは様々な経緯があるはずです。
ここまで極端な武力行為に及べば国際社会から様々なつま弾きに合うことは明白で、それを承知で決行しているのだとすれば、今までの均衡を捨て、暴力による制圧に踏み切ったプーチン氏には、それなりの理由があるのでしょう。
ロシア、ウクライナだけでなく、中国、NATO加盟国(特にアメリカ)等、諸国の為政者の思惑が錯綜していると見られ、単純に善悪の判断をすることが難しい状況です。
このような暴力行為を引き起こして、一番得をするのは誰なのか。
少なくとも、それはプーチン氏ではないような気がしています。彼は今、世界で一番損をしている人間に見えます。
素人目で見ても悪手でしかない方法をとり続ける真意はどこにあるのか。
充分な情報を得ておらず、不勉強な素人にはさっぱり分からないところではあります。
先述の如く、いかなる理由があろうとも、理性的な話し合いを捨て、暴力による問題解決方法をとることは、全く誤った行為です。
暴力行為をしかけ、それを支持継続するロシア為政者側に賛同できる部分はまるでありません。
しかし、同時に、現在世界中で巻き起こっているロシアに対する無作為かつ無差別な、分別のない非難については、一定の距離を保って接したいと考えております。
国の勝手で、私たち一般市民はある日突然戦争に巻き込まれます。
「自分自身がそのような立場になった」と真剣に考える時、私たちは、どこまでウクライナとロシア、双方の一般市民の方々の苦悩を想像できるでしょうか。
一刻も早い戦争行為の停止と、ウクライナとロシア、双方の市民方々の平穏な生活が戻ることを願っております。
合掌